いつものことといえばいつものことだが、食事後の数時間というのは耐え難いほどの睡魔に襲われることが多い。この日の予定分の仕事をほぼ消化した頃、ふいに出没したこの日の睡魔はかなりのやっかいものだった。レベル42はあるはず。間違いなく。この睡魔と格闘すること、数十分。自分の後ろに座っていた社長が「会社に音楽流れているのって、どう思う?」と声をかけてきた。
社長の外回りの経験上、職場で音楽を流している会社の比率はほぼ半々とのことらしい。そして、音楽を流したことによって、効率が上がったケースもある、と。社員がたくさんいて常にある程度のざわつきがあるところならともかく、適音で音楽が流れているのは個人的にはありがたい職場環境だなあ、と個人的には思う。大体、集中して仕事している時はそんなに耳には入ってこないし、ね。で、社長はそこで流す音楽でクラシックを例に挙げていたのだけれども、自分的には小沢健二の「Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学」とか藤原ヒロシのボーカルレスのトラックとかいいのではあるまいか、とかちらりと思った。
そういえば昔「完全自殺マニュアル」でその名を広めた鶴見済氏が「人格改造マニュアル」という本を執筆する際、"音を聴いて人格を変えよう"という項目で自分にアンケートを依頼してきたことがあった。そのアンケート内容は「この曲を聴いたら楽しくなる!!!」とか「この曲を聴いたら落ち着くわ」という曲を10曲ずつぐらいピックアップするというものだった。鶴見氏周辺の音楽ライターやDJなどにランダムに依頼してたらしいが、最終的に集まった回答に鶴見氏自体が納得できていないケースが多くて、笑わせてもらった覚えがある。で、アンケート書いただけでアルバイトとして1万円振り込んでくれたし。めちゃくちゃ効率のいいアルバイトだったよ、あれは。(余談だが、当時、鶴見氏は「完全自殺マニュアル」の印税で週毎にに100万くらい銀行に振り込まれていたとかなんとか)。
そんなこんなで、会社に音楽があった方がよいかどうか試すため、明日、無印良品の壁掛け換気扇風CD機を持っていこうと思う。

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参考までに鶴見氏の本から抜粋してみました。今あらためて見ると時代性を感じてしまう曲もあったりしますが(これは鶴見氏がDJなどにアンケートを依頼したせいでもあるでしょう)、今なお適用できそうな曲もありますね。しかし、ほのかな渋谷系さが素敵だ。
人格改造マニュアル

明るくなる曲」編

カーペンターズ/トップ・オブ・ザ・ワールド
エイフェックス・ツイン/Xtal
コクトー・ツインズ/ローレライ
シュガー・ベイブ/DOWN TOWN
・オムニバスCD/〜特効音楽〜元気回復
コーネリアス/ダイアモンド・ボッサ
大滝詠一/FUN×4
ビーチボーイズ/サーフィンUSA
ピチカートファイブ/ハッピー・サッド
・アーチ・ベル/タイトゥン・アップ
・ジャクソン・ファイヴ/アイ・ウォント・ユー・バック(帰ってほしいの)
・スウィングアウト・シスターズ/ブレイクアウト
ビリー・ジョエル/アップタウン・ガール
・フェアーグラウンド・アトラクション/パーフェクト
フェイ・ウォン/夢中人

「落ち着く曲」編

J.S.バッハ/G線上のアリア
・V.A./selected ambient warks II
・サティ/3つのジムノペティ 第1番
ルイ・アームストロング/この素晴らしき世界
・エンヤ/ストームス・イン・アフリカ
・ジュリー・クルーズ/フォーリング
・オムニバスCD/メンタル・エステ 60分間のリラックス・タイム●睡眠
・オムニバスCD/賛美歌名曲選
・BARBARELLA/チルアウト・オア・ダイ
プライマル・スクリーム/シャイン・ライク・スターズ
フォーレ/「レクイエム」より「楽園」にて
・ディープ・フォレスト/スウィート・ララバイ(アンビエント・ミックス)
細野晴臣/HELIOTHERAPY
藤原ヒロシ/NATURAL BORN DUB
サイモン&ガーファンクル/明日にかける橋

鶴見済人格改造マニュアルより抜粋)