・中俣暁生/文学:ポスト・ムラカミの日本文学
「文学:ポスト・ムラカミの日本文学」読了。購入したときに期待していた以上に内容的に読みやすくも面白い一冊だった。装丁や本の造り的にも個人的には好みな塩梅だったし。
村上春樹村上龍という2人の"ムラカミ"の登場をキーワードにして、'60〜最近までの文学シーン(日本文学・ポップ文学・ポストモダン文学からJ文学まで)を順々に追っていくのだが、各年代ごとに重要と思われる作家や政治・文化と絡めて話を進めていくので飽きることなく読み終えることができた。自分が音楽に気を取られて、ほとんど文学を追うことがなかった80〜90年代の文学シーンの流れをシンプルにつかめたのと、自分が好きな作家・小説がシーン的にはどのような位置に属するのかが明確化できたのが収穫。特にセゾン文化、渋谷系といったキーワードを元に論じていくくだりは興味深いところであった。